デシャンとアンコエラン

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    デシャンとアンコエラン

     

    現在、上野の東京国立博物館にて「マルセル・デシャンと日本美術」展が開催されています。デシャンと言えば、前衛的な近代芸術のイメージが強い画家だと思いますが、実は前衛芸術は19世紀末のフランスで早くも始まっていました。そのデシャンにも多大な影響を与えたと言われているのが、アンコエラン派と呼ばれる当時の前衛芸術集団でした。しかし当時はアール・ヌーヴォー全盛の時代でありそれ程人気が出ませんでしたがその後の前衛芸術には多大な影響を与えています。

     

    例えば、デシャンの有名なモナリザのパロディー「L.H.O.O.Q」(エル・エイチ・オー・オー・キュー)

     

     

    この作品は市販のモナリザのポストカードに髭を書いた、教科書の落書きのような作品ですが、実はこのような有名絵画への企みは30年ほど前の1883年のアンコエラン派の展覧会にて発表された「パイプを咥えるモナリザ」に見ることができ、デシャンもこの影響を受けたと言われています。

     

     

    アンコエラン派はこのような落書きやナンセンスな作品を好み、

     

    有名な作品のパロディーとしてモナリザと並ぶルーブルの代表作「ミロのヴィーナス」も

     

     

    「ミロのビーナスの夫」として発表したりしています。またこのような教科書の落書きのような物だけでなく

     

    アルフォンス・アレの作品では一面を白に塗り「雪の日に白い服を着た少女たち」など(厳密な題は「雪の日の白い少女たちの初聖体」初聖体はキリスト教の儀式で、他にも一面真っ赤にして枢機卿(赤い服を着ている)のトマト収穫や青一色などがあります。)

     

     

    など、絵画の教養や知識を必要としない人でも楽しめる作品を目指し,同じくアンコエラン派のエミール・コールはカトゥーン・アニメ(皆さんが思い浮かべるアニメの事です)を初めて作り「アニメの創案者」とも言われています。

     

     

     

    アンコエラン派の簡単な解説は過去のブログにかいてありますのでよろしければご覧ください。

    アンコエラン派(Les Arts Incohérents)とは

     

    話を「L.H.O.O.Q」に戻しますと

    このL.H.O.O.Qはフランス語で、エル、アッシュ(H)、オ、オ、キュ(Q)と読み、続けて読むと「エ ラ シュドゥ オ キュ」、Elle a chaud au culと書くことができます。これを日本語にすると「彼女のお尻は熱い」すなわち「彼女は欲情している」の語呂合わせになっています。

     

     

    この作品は、デシャンのレディ・メイドの一つであり、何パターンも作られています。

     

    また、この作品は、モナリザに男性的な側面も見出し(実際にモナリザのモデルは男性の説もあります)この性の同一性はローズ・セラヴィにも繋がっているのではないでしょうか。

     

     

    写真家マン・レイが撮影したロース・セラヴィ

    (ローズ・セラヴィとはマルセル・デシャンが女性に扮した際の活動名義)

     

    デシャンが影響を受けたのかわかりませんが実際にこの時代には、世界初の性適合手術をうけたリリー・エルベ(男性時の名前はアイナ・ヴィ―イナ)と呼ばれる画家もいました。

     

    一方デシャンは男性が女性ですが、現在展覧会が開催されているフランスの女優サラ・ベルナールは今の宝塚歌劇団のように女性がハムレットなど男性を演じています。

    このようにアール・デコや近代芸術でな様々な芸術手法が確立していきますが、19世紀世紀末のパリ、特にモンマルトルではアンコエラン派やシャ・ノワールなど様々な芸術運動が始まった時期でもあり芸術的にもとても興味深い時代です。

     

    リボリアンティークスではその当時の資料なども取り揃えておりますので興味のある方はぜひギャラリーにお越しください。

     

     

     


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