「サロメ」 アルフォンス・ミュシャ

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    「サロメ」 アルフォンス・ミュシャ

     

     

    この作品は、1897年に発行されたオリジナル版画集「レスタンプ・モデルヌ」の第二号に収録された

     

    「再生」エミール・ベルクマンス

    「笑顔」アルマンド・ベルトン

    「回顧」ジョルジュ・ド・フール

    「サロメ」アルフォンス・ミュシャ

     

    の4枚の新作版画のうちの1枚です

    シェレやロートレックの活躍やミュシャの登場によりポスターや版画は新しい芸術として人々に受け入れられました。産業革命以降のヨーロッパの発展はブルジョワジーなどの中産階級を生み、従来の王族や貴族、教会に向けた芸術とは違い、一般の人々に向けた芸術が求められ、そのような芸術への機運の高まりにシュンプノア社は答えるべく、毎月4枚の新作版画集「レスタンプ・モデルヌ」を1897年から1899年にかけて毎月、計24号発売しました。

    この新作版画集「レスタンプ・モデルヌ(現代版画)」には、アルフォンス・ミュシャやジョルジュ・ド・フール、ウジャーヌ・グラッセなどアール・ヌーヴォーを代表する装飾芸術の画家を始め、テオフィル・スタンランやアドルフ・ウィレットなどの風刺画を得意とした画家のなど当時を代表する画家の作品が収録され、各号の表紙はアルフォンス・ミュシャが描いています。

     

     

    サロメとは1891年にアイルランド出身の作家オスカー・ワイルドにより書かれ、1893年に出版されました。そして1894年に英語に翻訳され出版されますが、このときの挿絵はオーブリ―・ビアズリーが担当しています。ビアズリーの耽美的な挿絵はイギリスのみならず、フランスやドイツなど、アール・ヌーヴォーが流行を見せていた国や都市にも多大な影響を与えました。しかし、ワイルド自身は、サロメのイメージを東洋的ではなくビザンティン風にとらえており、フランスで上演された時の衣装は、ミュシャの描くこのサロメのようなビザンティン風な恰好をしていたそうです。ミュシャと言えば美しい優雅な女性のイメージが強いですが、実はこの時代の版画にビザンティン風な装飾を甦らせた人物であり、ミュシャの作品ジスモンダなどにはビザンティン芸術であるモザイクなどを使用してます。

     


    エルサレムの王ヘロデは前王である兄を殺し、兄の妃へロディアをも奪い王位に就いた。ある宴でヘロディアの連れ子で絶世の美女であるサロメに色目をつかうが、サロメは堪えられず宴の外に出る。外に出たサロメはヘデロ王に異を唱え井戸に幽閉されている予言者ヨハネの声を聴く。サロメは、衛兵隊長を色仕掛けで口説き落とし、井戸を開ける。ヨハネに恋をしたサロメであったが、ヨハネは相手にしない。サロメを探しに来たヘロデ王は、サロメの舞が見たいと言い、舞を見せてくれたらどんな望みでも叶えてやろうと約束する。愛を拒まれたサロメは「7つのヴェールの舞」を舞い、その返礼として「ヨハネの首」を王に所望する。
    ヘロデ王は預言者を殺すことに逡巡しながらも、王自身が誓ったことでもありヨハネの首をはねる。銀盆に載せられ運ばれてきたヨハネの首にサロメは口づけをして愛を語る。その姿を見たヘロデ王は、サロメを殺すように命じる。

     

    以上が、サロメの大まかなあらすじです、このサロメは新約聖書を基にした戯曲でり、聖書であるマルコの福音書にはヨハネやヘロデ、ヘロディアの名は登場しますが、サロメはヘロディアの娘としか描かれておらず名も出てきません。そしてワイルドの描いた戯曲と新約聖書との最大の違いは、ヨハネの首を所望したのは舞を披露したサロメではなく、自身を批判したヨハネを憎んでいた母ヘロディアで、サロメとヨハネの愛憎の話ではないことです。

     

    サロメといえば、ヨハネの首との場面が描かれることが多いですが、ここでは「7つのヴェールの舞」を踊るサロメを描いていると思われます。

    7つのヴェールの舞とは、ワイルドが名付けた踊りで、当時のパリで大人気であったロイ・フラーのヴェールを使った踊りからインスピレーションを受けたと言われています。

     

    ジュール・シェレの描いたロイ・フラー、長いヴェールに光を当てる、この幻想的な踊りは当時人気を博しました。


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