連載第7回:影絵劇を流行させたフランスの浮世絵師アンリ・リヴィエール

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    連載第7回:影絵劇を流行させたフランスの浮世絵師アンリ・リヴィエール

     

    このブログ連載はアルフォンス・ミュシャやトゥールーズ・ロートレックを含むアール・ヌーヴォーの有名な作品をポスターや版画を中心に絵と解説で紹介やアール・ヌーヴォーの大まかな歴史やポスター製法の用語(例えばリトグラフとは)などを更新いたします。アール・ヌーヴォーのポスター傑作集連載の第7回です。

     

     

    今回紹介します画家は、19世紀末にフランスでおこったジャポニズムの流行、その中でも特に浮世絵の影響を受け、自身も数多くの浮世絵を所蔵し、葛飾北斎の「富岳三十六景」に倣い、「エッフェル塔三十六景」を制作したフランスの浮世絵師アンリ・リヴィエールです。

     

    アンリ・リヴィエールは1864年にパリのモンマルトルに生まれます。ポール・シィニャックと共に画家のエミール・ビンの画塾で短期間ではあるが美術を学んだリヴィエールは1881年にオープンしたキャバレー「ル・シャ・ノワール」で頭角を現していきます。このキャバレーには、画家のウィレットやスタンラン、ロートレックなどが集まっていた酒場でリヴィエールは1882年からこのキャバレーの新聞の編集者をしています。そこで様々な芸術に触れたことがリヴィエールの才能を開花させ、自身も挿絵を手掛けるようになります。

     

    1883年の新聞「シャ・ノワール」に掲載されたリヴィエールの挿絵。

     

    このように初期の頃より風景を描くことを得意とし、シャノワールに様々な挿絵を描いていきます。しかし、リヴィエールにとってもっとも大きな転機となったことは、1886年にシャ・ノワールが移転したことです。いろいろあり、今までの場所で営業できなくなったキャバレー「シャ・ノワール」は大通りから裏路地に移転を余儀なくされます。しかしそのおかげでシャノワールは3階建と前の店舗より広くなり、3階に影絵劇場を設けます。そしてリヴィエールはこの影絵劇場の運営責任者を任せられます。この影絵との出会いがリヴィエールの版画活動において大きな根底をなし、とくに1887年に初演された「聖アントワーヌの誘惑」は40枚から成る最初の大掛かりな作品で、人気も高くシャノワールは影絵劇場としても有名になります。

     

     

    翌年に影絵劇の場面と音楽をリヴィエールがリトグラフにして販売しました、これを見ると当時の影絵がどのようであったかわかります。また、リヴィエールはこの作品の中で、

     

    日本の神々(北斎と光琳による)Les Dieux Japonais (D'après Ho-Kou-Saï  et Ko-Rin.)

     

    という場面を描いており、この頃よりリヴィエールのジャポニズム、特に浮世絵への影響がみてとれます。

     

    当初はリトグラフやエッチングを手掛けていたリヴィエールですが1889年に最初の木版画を製作、この1889年は版画においても重要な年でブラックモンなどにより画家=版画家協会が設立されました。

     

    そして1902年には北斎の「富岳三十六景」にちなんだ「エッフェル塔三十六景」を製作

     

     

    フランス語で「Les Trente-six vue de la Tour Eiffel」(36 見る の エッフェル塔)として発売されました。

     

    実際にリヴィエールは北斎や広重の浮世絵を所蔵し、特に北斎を敬愛していたリヴィエールは「富岳三十六景」をすべてコレクションしていました。

     

     

    リヴィエールも所持していた北斎の「富岳三十六景」の一枚「神奈川沖浪裏」

    ちなみに豆知識ですが北斎として有名なこの作品ですが北斎はこの作品を為一(北斎の別名)として発表しています。

     

    これ以降木版画やリトグラフにエッチングなど様々な版画と手掛けますが、1917年にリトグラフの製作を辞め以後は水彩画をメインとしていきます。

    日本好きなリヴィエールであったが、彼自身は実際に日本に来たことはなく1951年にパリからほど近いスシ―=アン=ブリにて87歳の生涯を終える。

     

     


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