連載第6回:レオネット・カッピエッロ Leonette Cappiello (1875~1942)

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    連載第6回:レオネット・カッピエッロ Leonette Cappiello(1875~1942) 

     

    このブログ連載はアルフォンス・ミュシャやトゥールーズ・ロートレックを含むアール・ヌーヴォーの有名な作品をポスターや版画を中心に絵と解説で紹介やアール・ヌーヴォーの大まかな歴史やポスター製法の用語(例えばリトグラフとは)などを更新いたします。アール・ヌーヴォーのポスター傑作集連載の第6回です。

     

     

    今回紹介する画家は、ジュール・シェレを「近代ポスターの父」とするならば、しばし「近代広告の父」と呼ばれるポスター・アート(グラフィック・アート)の巨匠、レオネット・カッピエッロです。

     

    1875年イタリアのリヴォルノで生まれたカッピエッロは幼少よりリトグラフなど芸術に触れて育ったが、美術学校などには通わず独学で絵画を学ぶ。1898年にパリにいる兄弟を訪ねてからパリに定住し様々な作品を出品する。その中でも、「ル・リール」と呼ばれる雑誌に寄稿したことがカッピエッロの人生を決定づけ、その後様々な雑誌や新聞のイラストや挿絵を手掛けることとなります。

     

    カッピエッロの作風は大きく3つに分けることができ、第1期が1898年から1902年、第2期は1903年から1930年頃まで、そして1930年以降が第3期となります。

     

    第1期

    アール・ヌーヴォーが全盛の時代でもあり、カッピエッロ自体もジャポニズムの影響を強く受け簡潔ながらも曲線を多用した作風となっています。

     

    オルセー美術館カッピエッロ

     

    この写真はオルセー美術館に展示されているカッピエッロの描いたイヴェット・ギルベール。イヴェット・ギルベールは当時人気のあったシャンソン歌手でロートレックやスタンラン、シェレなども描いています。

    そして奥に描かれているのはガブリエル・レジェンヌ、フランスのカバンメーカー、モワナのバック「レジェンヌ」はこの女性から。

     

    カッピエッロカッピエッロ

     

    そしてこちらが雑誌に寄稿したイラスト。

     

    カッピエッロ アブサン

     

    挿絵だけでなくポスターでも才能を発揮し、1902年にはアブサンの有名なポスターを手掛けます。カッピエッロは背景を1色で塗りつぶすことを好み、この手法はカッサンドルなど後の多くの画家に影響を与えました。

     

    第2期

     

    第1期である1902年ごろより背景を1色に塗りつぶすことを好んだカッピエッロですが、1903年に発表した「クラウスチョコレート」では背景を黒1色にします。この黒い背景に鮮やかな色を対置し幻想的な雰囲気を演出する画期的なこの手法はカッピエッロの代名詞となり、ポスター芸術がジュール・シェレ以来の革新といわれ、カッピエッロが近代広告の父とよばれる所以となり、カッサンドルの登場まで広告ポスターの第一人者として活躍をします。

     

    カッピエッロ

     

    カッピエッロ モーリン

     

    カッピエッロは日本の浮世絵の影響を強く受けており、この背景を黒1色に塗るこの技法にも日本の浮世絵の影響がみてとれます。

    それが写楽などに代表される黒雲母摺り(黒キラ摺り)の大首絵です

     

    写楽 大谷徳次

    第1期のところで”カッピエッロ自体もジャポニズムの影響を強く受け簡潔ながらも曲線を多用した作風”と書きましたが、せっかく浮世絵を載せたのでこの絵を使い解説します。この浮世絵から背景と色を消し、頭の青を強調します。すると

    写楽 大谷徳次切り抜き

     

    このようになります、この曲線を主体に描くのが浮世絵の特徴であり洋服の皺なども極力描きません。これを先ほどのオルセーの写真と比べてみると

     

     

    影響を受けていることがわかります。

     

    第3期

     

    そして第3期になると、時代はアール・デコに移り、若手のカッサンドルなどが活躍をし始めます。カッピエッロも従来のしばし幻想的であったキャラクターなどを用いたポスターからカッサンドルのポスターなどによく観られる、より広告物である製品の強調がなされるようになります。

     

     

     

     

    このようにカッピエッロの作風は時代と共に3つにわけられ、時代と共に異なった作風を描き1930年にはフランス国籍を取得します。そしてその後1942年にフランスカンヌにて生涯を終えるまで多数の作品を残しました。

    ロートレックやミュシャは演劇やダンスホールなど場所の広告ポスターが多いですが、いざ商業製品の広告ポスター芸術(グラフィック・アート)の分野ではカッピエッロはジュール・シェレ、カッサンドルと並んで御三家ともいえます。

     

     

     

     

     

     

     

     

     


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