シャネルの愛人ポール・イリブの版画「誘惑」

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    シャネルの愛人ポール・イリブの版画「誘惑」

     

    ポール・イリブ 1930年

     

    この作品は「LA TENTATION(誘惑)」という題、裸の男女、イチジクの葉から旧約聖書の創世記をモチーフにしているとわかる。しかしここでは知恵の実(禁断の果実)はリンゴではなく、二コラ社のワインになっている。

    創世記に登場する蛇のように女性にワインリストを見せ、ワインを飲むよう誘惑している男性は、顔も細長く目が丸くまるで蛇を擬人化してつくられたようであるが、この男性はネクタルという、ワインショップ「二コラ社」のキャラクター

    作者のポール・イリブは1883年にフランスの西部アングレーム生まれであり、主にアール・デコの時代に活躍した芸術家であるが、1908年には近代ファッションを作り上げたファッション・デザイナー、ポール・ポワレの衣装カタログのイラストを手掛けるなどしており、実際にはアール・ヌーヴォーの末期から活動している。1931年には、フランスのファッション・デザイナー、ココ・シャネルと恋仲になる。シャネルはイリブは同じ1883年の生まれで結婚を考えていたと言われているが、イリブは1935年に急死してしまう。

     

     

    現在もあるフランスのワインショップ「二コラ社」のための版画であるこの作品は、当時のオーナー、エティエンヌ・二コラにより製作された。エティエンヌ・二コラは二コラ社創業100年を記念し、1922年に自社のキャラクター「ネクタル」を生み出した。

     

    ドランシ―の描いた24本の瓶を抱えた配達人「ネクタル」

     

    ジュール・ドランシ―がデザインした白ワイン12本、赤ワイン12本と大量の瓶を抱えた配達人ネクタル、このキャラクターはワインの中身よりもワインの瓶を強調している。これは二コラ社がワインを最初に瓶詰めにして販売した会社でることを強調しているかのようである。それまではワインは樽詰めで販売されるのが主流であった。

     

    以後このキャラクターは、作者が違えど二コラ社のイメージキャラクターとして1973年まで使用される。

     

    ポール・イブリにより描かれた給仕の格好をしたネクタル。


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