リトグラフとは?アール・ヌーヴォーのポスターを蒐集するには〜その2【ブログ連載第4回】

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    連載第4回:リトグラフとは?アール・ヌーヴォーのポスターを蒐集するには〜その2

     

    このブログ連載はアルフォンス・ミュシャやトゥールーズ・ロートレックを含むアール・ヌーヴォーの有名な作品をポスターや版画を中心に絵と解説で紹介やアール・ヌーヴォーの大まかな歴史やポスター製法の用語(例えばリトグラフとは)などを更新いたします。アール・ヌーヴォーのポスター傑作集連載の第4回です。

     

    前回の記事ではアール・ヌーヴォーのポスターには原画が存在しないことについて書いてきましたが、今回は「リトグラフについて」です。ミュシャやロートレックの作品図録や展覧会に行くと、大多数の作品の下に「リトグラフ」と書かれていると思います。

    このリトグラフという言葉は日本ではあまりなじみのない言葉ですが、リトグラフとは石版を使い印刷された作品のことを指します。ちなみに日本が世界に誇る芸術「浮世絵」は木版画と呼ばれる、木版を使い印刷された作品になります。木版と石板のなにが違うのかというと、専門的には凸版か平版かの違いということになり、簡単にいうと木の板(版)に画家の絵をもとに彫刻刀で絵を彫りそこにインクを載せて印刷する(ハンコをイメージしていただくとわかりやすい)のが凸版の浮世絵で、一方リトグラフの平版は、石に画家が絵を描きその描いた部分にだけインクをつけて印刷します。

     

    画家が石に直接絵を描きその描いた部分にだけインクをつけて印刷するというこのリトグラフ最大の特徴は、画家が描いた絵そのままを印刷できることです。この画期的な技術にロートレックは傾倒し、ただ絵を描くだけではなく吹き付けと呼ばれる新しいリトグラフの技法、新しい芸術の表現を生み出しました。

     

    リトグラフができるまで

     

     

     

    しかし、言うのは簡単ですが実際に描いた部分だけにインクを付けるというのはとても困難で、この技術は18世紀末に偶然生まれたと言われています。その後19世紀に入り様々な試行錯誤や、近代ポスターの父と呼ばれるジュール・シェレなどの功績によりリトグラフは多色で鮮やかになり飛躍的に進歩します。逆にミュシャなどはリトグラフが全盛になってから活躍した画家でもあるので、ロートレックやシェレなどは3色か4色が多いのに対し、ミュシャはさらに色数が増え、金や銀を使うなど豪華になっていきます。

     

    油絵などの従来の絵画とは違う、リトグラフとよばれるこの絵画の表現は新しい芸術を模索していた若き芸術家たちに流行し、様々な傑作が生まれ、当時のフランスでもリトグラフだけの展覧会も多く開かれ芸術として認められていきました。

     

    なので、リトグラフは複製か?という答えは、これは美術愛好家の方でも間違えている方が多いですがリトグラフは複製や原画からのコピーではなく、印刷の技法になります。もっとも複製やコピーもリトグラフの技法で製作されれば、リトグラフになるので本物の美術品を蒐集されたい方は注意が必要です。要するにリトグラフという言葉だけでは本物かニセモノかの区別はつきません。ここがアール・ヌーヴォーのポスターを蒐集する上での難しいポイントの一つだと思います。

     

     

     


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